【 塗 装 工 具 編 】
この項目では塗装に必要な基本工具と材料を紹介します。
1:塗料 2:塗装筆 3:溶剤 4:マスキング・テープ 5:下地処理剤 6:エアーブラシ&塗装ブース
1:塗料
艦船模型を塗装する時に使用する塗料の種類には油性(ラッカー系)塗料と水性(アクリル系)塗料が有ります。
それぞれの特質を簡単に解説しますので、各自の使途に合った種類の塗料を選択して下さい。
[1−a:水性塗料]
これはタミヤから発売され自分が塗装に使用している水性塗料で1瓶10mlで126円(税込み)です。
他にもグンゼ産業から発売されている水性ホビーカラーと言う水性塗料も有ります。
[良点]
・塗装直後で筆に付着している塗料が乾ききらない内なら水道水で洗浄可能。
・塗料の伸びが良いので筆塗りした時に「筆ムラ」になりにくい。
※筆ムラとは乾燥後に筆で塗装した部分の塗装面にスジ状の痕が残ってしまう現象。
・油性塗料の様なシンナー臭が無く、乾燥後の塗膜は油性塗料並みに強い。
[欠点]
・明確な確定(決定)色が無いので近似色の選択または色に執着する方は色の調合をする必要が有る。
・油性塗料の塗装面に上塗りは可能だが、その逆は塗装面を傷めてしまう。
・乾燥までの時間が長いので異色の重ね塗りの場合には完全乾燥が必須です。
また塗装直後はパーツの扱いに注意が必要。
[1−b:油性塗料]
これはピットロードから発売されている油性塗料で1瓶18ml入りの物。
他にもグンゼ産業からMr.カラーと言う油性塗料も有ります。
[良点]
・塗料の乾燥が水性塗料より遥かに速いので製作や作業効率(ペース)のアップが出来る。
・塗料色の名称が判り易く表示されている物が多いので色選択が楽に決まる。
・乾燥後の塗膜が非常に強い。
・塗料の重ね塗りが可能だが、下地が水性塗料の場合には×。
[欠点]
・塗料自体に粘りが有るので筆で塗装する際には筆ムラを起こしやすい。
・塗装後の筆に付着した塗料を洗浄する時、塗料を希釈(薄める)時には専用の溶剤が必要になる。
・慣れると気にならなくなる方も居る様だけど油性なのでシンナー臭が強く、充分な換気が必要となる。
・揮発性も強いので室温が高い時には蓋を開け放しにしていると粘度が増してしまう事も有り。
[1−c:油性スプレー缶]
これはタミヤから発売されている油性スプレー缶で1缶630円(税込み)。
このシリーズには水性塗料の項で述べた様に確定色表記が無いので近似色を選択する事になる。
またグンゼ産業からはMr.カラースプレーの名称で缶スプレーが発売されています。
[良点]
・スプレーなので塗膜も薄く筆ムラが発生しにくい上に手も汚れない。
・スプレー噴きのコツさえマスターしてしまえば非常に塗装が楽で綺麗に仕上がり、
筆塗りが苦手な方や塗装後の洗浄が面倒な方にお勧め。
・一度の塗布面積が広いので塗装のペースもアップする
[欠点]
・液化塗料の様に塗装色の調合(混ぜ合わせ)が出来ないのと価格が高い。
・上記の良点と矛盾するが塗布面積が広いので余分な所にまで塗料が拡散される。
・油性なのでシンナー臭が強く、屋外で塗装する場合には風向きに影響を受け易いので注意。
・使い方によっては瓶入り塗料の方が安く上がる場合も有る。
・残量が把握しにくいので常に予備缶を準備しておく必要が有る。
・製作手順によっては「マスキング技法」が必要になる。
2:塗装筆
塗装する道具として筆の他に、上記の缶スプレーやエアーブラシが有ります。
しかし、ここでは昨日、今日初めて挑戦する初心者にも簡単に出来る塗装方法として「筆塗装」を紹介します。
平筆大:空母の飛行甲板やキットの船体及び甲板などの広い面積を塗装する時に使用。
平筆小:艦橋(ブリッジ)パーツ、煙突、主砲、高角砲、機銃、カタパルトなどの中型パーツの塗装に使用。
面相筆:マスト、高角砲や機銃の銃身、探照灯、艦載艇の上面など細かい箇所の塗装に使用。
筆塗装をする際には平筆大(左)、平筆小(中)、面相筆(右)の3種類が有れば充分対応できるので、
最初から色々と数種類の筆を買い揃える必要は有りません。
プラモデル(模型)屋に行けば平筆大、平筆小、面相筆の3本が1セットになった物が売られています。
またセット発売されている価格より予算が掛かりますが筆の毛質、筆の「コダワリ」、気に入ったサイズを
重視したい方はタミヤから各種筆を単品で発売されていますから使い易い筆を任意で選択購入されても良いでしょう。
エアーブラシ塗装される方もタッチアップ用に面相筆は持っていた方が良いです。
3:溶剤・洗浄液
タミヤから発売されている溶剤で塗料の項で紹介したアクリル(水性)塗料用の物で
1瓶46ml入りで210円(税込み)です。油性塗料には同様に専用の溶剤が有るので
そちらの使用をお勧めします。溶剤=シンナーなので使用時には換気と火気には充分に注意しましょう。
溶剤は以下の用途にも使用出来ます。(油性用、水性用共に共通)
1:塗料の希釈
塗料は使用している内に塗料に含まれる揮発成分が少しずつ蒸発して塗料の濃度が濃くなります。
その状態では綺麗に塗装できません。ここで少量の溶剤を塗料に混入して濃度調整をします。
2:筆の洗浄
水性塗料の場合は塗装して直ぐの状態なら水道水で洗う事が可能ですが少し時間が経過したり、
夏場の様に高温になる状態では筆に付いた塗料の乾きも早く、こうなれば水道水での洗浄は不可能になります。
こんな時が溶剤の出番で、綺麗に筆に付着した塗料を落としてくれます。
油性塗料を使用する場合は筆に付着した塗料が乾く、乾かないに関係無く水道水では筆の洗浄が困難なので
最初から溶剤を使いましょう。
3:別の用途
この溶剤の便利な所は筆の洗浄だけで無く、ヘラに付いたパテの洗浄、塗装中に余計な所に付いた塗料、
パテに極少量混ぜてパテを柔らかくする等にも使用出来ます。
4:マスキング・テープ
筆塗り、缶スプレー、エアーブラシ等、どの塗装にも重宝されるのが、このマスキング・テープです。
空母の飛行甲板、艦船模型の甲板部、迷彩塗装など1つの面に複数の色を塗装する際、
次に上塗りする塗料が余計な所に着色しない様にする為に、このマスキング・テープを使います。
このマスキング・テープを使用すると色境界がバッチリと決まるだけでなく、不必要な箇所はテープで
保護して有るから「色がハミ出さない様に」とか「ここは慎重に塗り分けないと」など塗装中に
ピリピリする事もなく非常に楽に塗り分け塗装が出来て、尚且つ塗装完了後に「綺麗に出来ているかな?」と
マスキング・テープを剥がす時の微妙な「ハラハラ感」と「ドキドキ感」などの楽しみも在ります。
もし色境界が乱れていたり、失敗箇所が有れば面相筆でタッチ・アップしておきましょう。
メーカーもテープ幅の種類も価格も豊富に有るので予算に合った物を購入すると良いでしょう。
また初心者の方は「どの幅を持っていれば良いのか?」と購入時に迷ってしまうと思いますが、
初歩で使用する場合は10mm(大)、5mm(中)、1mm(小)の3種類が有れば殆ど、カバー出来ますし、
慣れてきたら自分の使い方に合ったテープ幅の物に切り替えるのも良。
タッチ・アップ:塗料が充分に塗装されてない所、小さな塗装ミス、接着剤のハミ出しの箇所を後から筆などで補修塗装する事。
5:下地処理剤
下地処理剤とは塗装前に塗料の乗り具合を良くする物で3種類の下地処理剤が有ります。
左から「サフェース・プライマー」、「プライマー・サフェーサー」、「メタル・プライマー」です。
「サフェース・プライマー」はプラキット用、「プライマー・サフェーサー」はレジン・キット用の
サフェーサーです。使用方法は塗装をする前に軽く吹き付けておき、乾燥後に塗装します。
またサフェーサーを吹き付けると気付かなかった小さな傷や接着剤・パテによる浸食も発見し易くなるので、
塗装前の段階で小傷を手直しする事で綺麗な完成品にする事が可能です。
「メタル・プライマー」は塗装前のエッチング・パーツや金属(メタル)パーツに吹き付けて、
塗料の塗り具合を良くする物です。
6:エアーブラシ&塗装ブース
この道具を使えば筆塗りより塗膜(塗料の厚み)が
薄くキットのディティールやモールドを潰さずに
シャープに仕上げる事が出来ます。
また塗装ブースがあるので室内での塗装も可能です。
スプレー缶塗装に比べ、ノズル先端径が小さいので
塗料粒子の広がりも小さくて済みます。
筆塗りやスプレー缶塗装に比べて利点も多いのですが、
道具を揃えるのに金額(予算)が高くつく事、
塗装後または1色塗装するごとにエアーブラシを
洗浄しなければならない。
塗料濃度を調整しなければならないなどの手間が
発生するのが難点です。