エンガノ岬沖海戦

生起日:昭和19(1944)年10月25日

要  因
マリアナ諸島を攻略した米軍は次攻略目標をフィリピンと定め、ハルゼー大将が率いる米機動部隊は前哨戦として昭和19(1944)年10月初旬、
フィリピン諸島、台湾、沖縄など日本軍の航空基地に大規模な航空攻撃を行った。同年10月17日、フィリピンのスルアン島へ米軍が
上陸を開始すると連合艦隊司令部は「捷一号作戦」を発動する。第1遊撃部隊(栗田艦隊)はレイテ湾内に集結する敵輸送船団及び敵上陸部隊を
撃滅する為、レイテ湾へ突入する作戦だったのだがレイテ島の東方海域には米機動部隊が布陣しており、航空機支援の無い栗田艦隊には
厄介な敵だった。そこで、日本軍が考えたのが小沢長官が率いる小沢艦隊を囮艦隊として米機動部隊をレイテ島から遠く北東海域へ誘致させ、
その隙に栗田艦隊がレイテ湾へ突入すると言う内容だった。栗田艦隊と呼応しつつ南下を続ける小沢艦隊は米機動部隊との接触に成功し、
ハルゼー大将も日本空母4隻を含む部隊を強力な日本機動部隊と思い込み全速力で小沢艦隊に接近していった。小沢艦隊には4隻の空母が
配属されていたが、その全航空兵力は僅か108機で米エセックス型空母の1隻分だった。多大な被害と損害を出しながらハルゼー艦隊を
作戦通りに誘致したと確信した小沢長官は「敵機動部隊を誘致」の電報を発するが、その電報は何故か栗田艦隊には届かなかった。
これにより栗田艦隊は米機動部隊の所在が判らずレイテ湾突入を目前にして反転し、日本軍は組織的なレイテ湾突入の機会を永久に失う。
この後、フィリピン防衛に固着する日本軍は制海権、制空権の無い海域で数次にわたるレイテ輸送作戦を強行実施させ
ガダルカナル島の時と同様に更に多くの損害を出す事になる。(海戦データの次項を参照)


[日本艦隊]

機動部隊本隊
艦隊名:第3艦隊(別呼称:小沢艦隊)   指揮官:小沢 治三郎 中将

空母   瑞鶴   瑞鳳   千歳   千代田
戦艦   伊勢   日向
軽巡   大淀   多摩   五十鈴
駆逐   初月   秋月   若月   霜月   桑   槙   杉   桐


※機動部隊本隊(小沢艦隊)は2群に分隊していました。その編成は以下の通り。

前衛部隊                           主隊
空母   千歳   千代田                 空母   瑞鶴   瑞鳳
戦艦   日向                        戦艦   伊勢
軽巡   多摩   五十鈴                 軽巡   大淀
駆逐   霜月   槙                    駆逐   初月   秋月   若月   桑
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[米艦隊]

艦隊名:第38機動部隊             指揮官:マーク・A・ミッチャー 中将

第38.2任務群(TG−38.2)     任務群指揮官:ジェラルド・ボーガン 少将
空母   イントレピッド(CV11・任務群旗艦
軽空母  インディペンデンス(CVL22)  キャボット(CVL28)
戦艦   アイオワ(BB61)  ニュージャージー(BB62・第3艦隊旗艦
軽巡   ヴィンセンス(CL64)  ビロクシー(CL80)  マイアミ(CL89)
駆逐   ミラー(DD535)  オーウェン(DD536)  ザ・サリバンズ(DD537)  ティンギー(DD539)  トワイニング(DD540)  ヤーナル(DD541)
      コラハン(DD658)  ヒコックス(DD673)  ハント(DD674)  ルイス・ハンコック(DD675)  マーシャル(DD676)  ストックハム(DD683)
      ウエッダーバーン(DD684)  ハルゼー・ポウェル(DD686)  アールマン(DD687)  カッシング(DD797)


第38.3任務群(TG−38.3)     任務群指揮官:フレデリック・C・シャーマン 少将
空母   エセックス(CV9・任務群旗艦)  レキシントンU(CV16・第38機動部隊旗艦
軽空母  プリンストン(CVL23)  ラングレーU(CVL27)
戦艦   サウス・ダコタ(BB57)  マサチューセッツ(BB59)
軽巡   サンタ・フェ(CL60)  バーミンガム(CL62)  モービル(CL63)  リノ(CL96)
駆逐   ロウズ(DD558)  ロングショウ(DD559)  モリソン(DD560)  ケパートン(DD650)  コグスウェル(DD651)  インガソル(DD652)
      ナップ(DD653)  クラレンス・K・ブロンソン(DD668)  コットン(DD669)  ドーチ(DD670)  ガトリング(DD671)  ヒーリー(DD672)
      ポーターフィールド(DD682)  キャラハン(DD792)  カッシン・ヤング(DD793)  アーウィン(DD794)  プレストン(DD795)


第38.4任務群(TG−38.4)     任務群指揮官:ラルフ・デーヴィソン 少将
空母   エンタープライズ(CV6)  フランクリン(CV13・任務群旗艦
軽空母  ベロー・ウッド(CVL24)  サン・ジャシント(CVL30)
戦艦   ワシントン(BB56)  アラバマ(BB60)
重巡   ニューオーリンズ(CA32)  ウイチタ(CA45)
駆逐   グリッドリー(DD380)  バグレイ(DD386)  ヘルム(DD388)  マグフォード(DD389)  ラルフ・タルボット(DD390)  パターソン(DD392)
      マッコール(DD400)  マウリー(DD401)  ウィルクス(DD411)  ニコルソン(DD442)  スワンソン(DD443)

          ※第38.1任務群(TG−38.1)は当初、ウルシー環礁へ補給と整備の為に帰投中だったので本海戦には参加せず。


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