生起日:昭和19(1944)年6月19〜20日

要  因
昭和18(1943)年初頭にガダルカナル島を占領されてから連合軍は同島を拠点にしてソロモン諸島を島伝いに北上進撃を続け、
遂に同年末にはソロモン諸島を制圧した。尚も反日反抗作戦を続行する連合軍は、その勢いを衰えさせる事無く次々と太平洋海域の
制空権・制海権を確実に確保していった。昭和19(1944)年に突入すると連合軍は2月にクウェゼリン、ブラウン環礁、トラック諸島を攻撃し
3月にはパラオ諸島、4月にはニューギニア北部へ上陸してきた。連合軍の動向から6月辺りにマリアナ諸島へ進撃して来るだろうと
日本軍は予測していた。しかし日本側には艦隊への燃料補給の問題からマリアナ諸島(サイパン、グアム)海域での戦闘は厳しく、
パラオ諸島近海を戦闘海域と想定しマリアナ諸島の各島へは航空隊・陸上部隊の増強配備を行った。
日本軍が考案した作戦の中身は米機動部隊が進撃してきた場合、各島へ配備した航空隊が哨戒索敵を実施して万が一、
敵兵上陸が有った場合でも増強した陸上部隊が防衛し占領されるまでの時間稼ぎが出来る。この隙にマリアナ諸島周辺に配備した
潜水艦と、基地航空隊、機動(小沢)艦隊の連携攻撃で敵機動部隊と敵上陸船団及び上陸部隊の粉砕をすると言う
ものだった。また機動艦隊は独自に自隊艦載機の航続距離が敵艦載機より長い事を活かして敵艦載機が届かない距離から
先制攻撃を掛ける(アウトレンジ)戦法を画策していた。これらの作戦は軍が敵情と自軍の現状を全く無視した身勝手な「御都合戦法」だった。
実際の戦闘では航続距離の短い米戦闘機隊は自艦隊からのレーダー誘導により日本機の進撃高度より上空に何段も待機して、
練度が低く遠距離を飛行してきた日本軍機を次々と撃墜していった。この様子を米軍パイロットは「マリアナの七面鳥撃ち」と呼んだ。
また米機動部隊は前衛艦隊に絶大な砲火力を有する戦艦7隻を基幹とする1群(TG−58.7)を配備していたのだった。
何重もの敵戦闘機隊の防御スクリーンを突破した日本軍機を次に待ち受けていたのは、米機動部隊から容赦無く打ち上げられる対空砲火で、
しかもこの砲弾は近接(VT)信管を装着していて命中しなくても砲弾自体が目標を感知すると勝手に爆発して
内部に装填されている鉄破片が周囲に飛散して機体にダメージを与える新型砲弾だった。
日本海軍は空母3、油槽船2隻沈没、空母4、戦艦1、重巡1、油槽船1隻が損傷し、航空機も482機中426機を失い、
艦隊は多大な被害を被りマリアナ諸島は連合軍の手に落ちて、後に長距離爆撃機B29が同島へ進出し日本本土が爆撃圏内に
入る事になった。これに対し米艦隊の損害は航空機20数機と着艦時の事故で約80機を含む空母1、戦艦2、重巡1隻が損傷しただけだった。


[日本艦隊]

艦隊名:第1機動艦隊(第3艦隊)      指揮官:小沢 冶三郎 中将

(本隊)
・甲部隊
空母   大鳳   瑞鶴   翔鶴
重巡   妙高   羽黒
軽巡   矢矧
駆逐   霜月   五月雨   朝雲   浦風   磯風   初月   若月   秋月

・乙部隊
空母   隼鷹   飛鷹   龍鳳
戦艦   長門
重巡   最上(航空巡洋艦)
駆逐   野分   山雲   満潮   時雨   浜風   早霜   秋霜



(前衛)(第2艦隊)                指揮官:栗田 健男 中将

空母   千歳   千代田   瑞鳳
戦艦   大和   武蔵   金剛   榛名
重巡   愛宕   高雄   摩耶   鳥海   熊野   鈴谷   利根   筑摩
軽巡   能代
駆逐   島風   長波   朝霜   岸波   沖波   玉波   浜波   藤波



(補給部隊)
・第1補給隊
軽巡   名取
駆逐   初霜   響   夕凪   栂
補給   速吸   日栄丸   清洋丸   国洋丸

・第2補給隊
駆逐   雪風   卯月
補給   玄洋丸   あづさ丸
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[米艦隊]

艦隊名:第58機動部隊             指揮官:マーク・A・ミッチャー 中将

第58.1任務群(TG−58.1)    任務群指揮官:ジョセフ・J・クラーク 少将
空母   ヨークタウンU(CV10・任務群旗艦)  ホーネットU(CV12)
軽空母  ベローウッド(CVL24)  バターン(CVL29)
重巡   バルチモア(CA68)  ボストン(CA69)  キャンベラ(CA70)
防空巡  サン・ジュアン(CL54)  オークランド(CL95)
駆逐   グリッドレイ(DD380)  クレイブン(DD382)  ヘルム(DD388)  マッコール(DD400)  マウリー(DD401)  ボイド(DD544)
      ブラッドフォード(DD545)  ブラウン(DD546)  コウェル(DD547)  チャレット(DD581)  コナー(DD582)  ベル(DD587)
      バーンズ(DD588)  イザード(DD589)


第58.2任務群(TG−58.2)    任務群指揮官:アルフレッド・E・モンゴメリー 少将
空母   バンカー・ヒル(CV17・任務群旗艦  ワスプU(CV18)
軽空母  モンテレー(CVL26)  キャボット(CVL28)
軽巡   サンタ・フェ(CL60)  モービル(CL63)  ビロクシー(CL80)
駆逐   デューイ(DD349)  ハル(DD350)  マクドノー(DD351)  ミラー(DD535)  オーウェン(DD536)  ザ・サリヴァンズ(DD537)
      ステフェン・ポッター(DD538)  ティンゲイ(DD539)  ヒコックス(DD673)  ハント(DD674)  ルイス・ハンコック(DD675)  マーシャル(DD676)


第58.3任務群(TG−58.3)    任務群指揮官:ジョン・W・リーブス 少将
空母   エンタープライズ(CV6・任務群旗艦)  レキシントンU(CV16・第58機動部隊旗艦
軽空母  プリンストン(CVL23)  サン・ジャシント(CVL30)
重巡   インディアナポリス(CA35)
軽巡   クリーブランド(CL55)  モントピーリア(CL57)  バーミンガム(CL62)
駆逐   テリー(DD513)  アンソニー(DD515)  ワッズワース(DD516)  ブレイン(DD630)  ケパートン(DD650)  コグスウェル(DD651)
      インガーソル(DD652)  ナップ(DD653)  クラレンンス・K・ブロンソン(DD668)  コットン(DD669)  ドーチ(DD670)
      ガトリング(DD671)  ヒーリー(DD672)


第58.4任務群(TG−58.4)    任務群指揮官:ウィリアム・K・ハリル 少将
空母   エセックス(CV9・任務群旗艦
軽空母  カウペンス(CVL25)  ラングレーU(CVL27)
防空巡  サン・ディエゴ(CL53)
軽巡   ヴィンセンスU(CL64)  ヒューストンU(CL81)  マイアミ(CL89)
駆逐   ケース(DD370)  エレット(DD398)  ラング(DD399)  ステレット(DD407)  ウィルソン(DD408)  スタンリー(DD478)  ランズダウン(DD486)
      ラードナー(DD487)  マッカラ(DD488)  コンヴァース(DD509)  スペンス(DD512)  サッチャー(DD514)  チャールズ・オズバーン(DD570)
      ダイソン(DD572)


第58.7任務群(TG−58.7)    任務群指揮官:ウィリス・A・リー 少将
戦艦   ノース・カロライナ(BB55)  ワシントン(BB56・任務群旗艦)  サウス・ダコタ(BB57)  インディアナ(BB58)
      アラバマ(BB60)  アイオワ(BB61)  ニュージャージー(BB62)
重巡   ニューオーリンズ(CA32)  ミネアポリス(CA36)  サンフランシスコ(CA38)  ウイチタ(CA45)
駆逐   セルフリッジ(DD357)  コニンガム(DD371)  バッグレイ(DD386)  マグフォード(DD389)  パターソン(DD392)  ゲスト(DD472)
      ベネット(DD473)  フラム(DD474)  ハドソン(DD475)  ハルフォード(DD480)  トワイニング(DD540)  ヤーナル(DD541)
      ストックハム(DD683)  モンセン(DD798)   


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